ある仮定の世界の話
そこには50人いて、みな同じくらい頑張って働いていた。
その世界の総生産は1000ゴールドであった。
(ゴールド:架空の世界通貨)
一人当たりの収益は、1000ゴールド/50人=20ゴールドということになる。
しかし、そのうち10人は少し強く少し頭が良かったので、皆にいろいろ教える代わりに、少し多めに貰うことになった。
そこで、残り40人は平均2ゴールドで生活出来るということで、収益も2となった。
つまり
1000ゴールド−40×2ゴールド=920ゴールド
となり、少し頭が良い10人の収益は
920ゴールド/10人=92ゴールド
となった。
つまりこの状態が第二次世界大戦直後の状態の様なものである。
日本は、この時点では、残りの40人のうちの一人であった。
現在も普通に行われている「人件費が安い国で物を作る」とは、こういう後進国の収益を先進国が奪い取る形なのだ。
さて、日本は欧米に忠実で、よく働いていた為、少し頭もよくなり、高度成長をした。
これを仮想世界で考えると・・・
40人のうち、ある一人がよく勉強して、よく働いた為、先進グループに入ることになった。
そうすると、残り39人となり
1000ゴールド−39×2ゴールド=922ゴールド
となり、先進グループの11人の収益は
922ゴールド/11人=約84ゴールド
となった。
先進グループの間では、多少の軋轢は出たものの、後から加わった一人が忠実でよく働くため、元からの10人はなんとか我慢できた。
これが日本の高度成長後の状態、つまり30年くらい前の状態である。
日本はこの後も経済成長を演出する為、借金をして国内に金をばらまき続け、見かけ上の経済成長と引き替えに借金は膨らんでいくことになる。
つまり、カード地獄にはまりながらブランド品を買うのと同じである。
さて、その後中国やインドなど多数の人口を抱える国が経済成長してきた。
中国のGDPが日本を上回ったとは言っても、人口比を考慮すると、一人当たりのGDPは日本の1/10程度である。
これを仮想世界で考えてみると・・・
残り39人のうち、徐々に頭の良くなった20人は、中堅グループとなり、10ゴールドの収益が必要となってきた。
そうなると、
残り19人の収益は、19×2ゴールド=38ゴールド
中堅グループは、20×10ゴールド=200ゴールド
となり、残った収益は、
1000ゴールド−38ゴールド−200ゴールド=762ゴールドとなり
先進グループの収益は
762ゴールド/11人=約69ゴールドとなる
先進グループは、まだまだ世界平均の20ゴールドより三倍以上の収益を得ている筈であるが、元々90ゴールド以上の収入があった為、生活もそれに合わせており、中には財政破綻をするものが出たり、架空の生産をでっちあげて収益を得たりするものが現れた。
これが現在の状態と言える。
ヨーロッパで財政破綻が始まったのも、アメリカがサブプライムローンの様な架空債権を発行しなければならなくなったのも、その為である。
日本がいくら借金をして、経済成長を演出してバブル化しようとしても、成長できなくなってきた理由でもある。
近未来であるこの先について更に考えてみよう。
中堅グループは更に少し頭が良くなり、世界平均の20ゴールドの収益が必要となった。
残り19人の中の10人が、少し頭の良い第二中堅グループとなり、10ゴールドの収益が必要となった。
そうなると
残り9人の収益は、2ゴールド×9人=18ゴールド
第二中堅グループの収益は、10ゴールド×10人=100ゴールド
中堅グループの収益は、20ゴールド×20人=400ゴールド
となり、残りは・・・
1000ゴールド−18ゴールド−100ゴールド−400ゴールド=482ゴールド
となり、先進グループ一人当たりの収益は
482ゴールド/11人=約44ゴールド
となる。
これでも、まだ先進グループは世界平均よりも2倍以上得ているのだが、元々の収益の半分しか得られなくなり、先進グループは大変な事態となる。
これがすぐそこの未来の話である。
つまり、これからのアメリカ、ヨーロッパ、日本の経済状態は加速度的に悪くなる。
日本が更に経済成長しようとして、借金を重ねれば、国家の財政は破綻することは目に見えている。
何故、こうなってしまったのか?
交通手段が発達し、グローバル化が進むということは、隔離されていた壁が取り払われるということである。
物理学では、エントロピー増大の法則というものがある。
直訳すれば、乱雑さが増大するということであり、つまり平均化してくるということである。
そしてそれは、物理学だけの世界の話では無い。
世界の壁が無くなり、グローバル化するということは、世界が平均化していくということである。
そして、人間の科学技術がいくら発展しても、世界の総生産量というものは変わらないものである。
世界にとって必要な生産とは、証券では無く、衣食住、特に食に関わるものだからだ。
そして、地球に当たる太陽からのエネルギー量は変わらない。
生産とは、簡単に言えば、太陽からのエネルギーを人間の衣食住に利用できる形にすることと、大まかに言える。
特に、食に関しては、それがほとんどである。
世界が平均化していき、先進グループの収益が減っていったとしても、世界平均の20を下回ることは無いであろう。
しかし、20の収入で、80の支出をしていては、破綻することは目に見えている。
世界の貧富の格差を無くし、グローバル化することは、私も良いことだと思う。
しかし、その為には、将来世界平均まで落ち込む経済に対する覚悟が必要である。
一方で地球は化石燃料燃焼により二酸化炭素増え、温暖化が進み、大地は砂漠化しているので、世界の総生産量は減少していく。 二酸化炭素の増加は、オゾン層を減らし、地球に降り注ぐ放射線の量も増やし、皮膚癌などの原因ともなっているので、真面目に取り組む必要がある。
日本は、経済的には高いレベルにあるが、成長は止まり、国内生産は空洞化し、失業者や低所得者が溢れ、将来に対する不安から婚姻率、出生率が低下し、民族絶滅に突き進んでおり、とても幸福な状態とは言えない。
お金や物を尺度とした幸福を追い求め続けるなら、この先日本人には不幸しか無い。
今こそ、世界平均にまで落ち込む経済状況を想定し、その中でお金とは別の価値観で幸福を追求していくことが重要である。
最後に、総生産量は変わらないとしてきたが、それは地球に当たる太陽エネルギーにのみ着目したからである。
もし、それ以外のエネルギーを生産に利用することが出来たなら、世界の総生産量は少し増え、現在の世界平均を押し上げることが出来るかもしれない。
石油や石炭、天然ガスは、過去の地球が太陽から得たエネルギーを貯蔵していただけなので、貯金が無くなる様に、いつか枯渇する。 利用率を向上させる努力をすれば、少し長く利用できる様になるだろうが、二酸化炭素の増加には歯止めがかからない。
原子力エネルギーは、太陽エネルギーによらない、太古に隕石が落下した時のエネルギーを貯蔵したものと言えるが、それもいつか枯渇する。 また、放射能は生物が感知することが出来ない。 それはつまり、3〜10億年の生物の進化において対応できなかったことを意味している。 従って、生物にとって、進化を加速させる要因でもあるが、永遠の毒と言っても過言では無い。 原発事故で身にしみているが、その様な毒を地上にまき散らすことは、人類の存続に危機をもたらすことになる。
太陽光発電は、人間が住む大地が得られるエネルギーを先取りしてしまおうというものである。 クリーンなエネルギーで、当面の利用は問題無いが、その影響はまだまだ未知の世界である。
しかし、もし、地球外の太陽光で発電したエネルギーを地上に送ることができれば、つまり人工衛星などで太陽光発電し、それをレーザーなどで地上に送ることができれば、無限のエネルギーを手にすることが出来るかもしれない。 しかし、少し遠い未来の話の様な気もする。
微生物を利用したバイオエネルギーは、光合成を利用するものであれば、地上における太陽光発電より少し効率が良いという程度の話である。
一番有望なのが、地熱発電と風力発電である。
地熱は地球内部の熱で、太陽が地球外の天体エネルギーとすれば、地熱は内部の天体エネルギーである。 恐らく、人類が生存している間は、問題無く利用することができるであろうし、クリーンエネルギーでもある。
風力は、その根元は地球の自転であり、太陽エネルギーと地熱エネルギーが天体単体のエネルギーだとすれば、二つの天体間相互作用によるエネルギーであり、地球上に大気がある限り、問題なく利用し続けることができ、クリーンなエネルギーと言える。
半世紀以上前、やはりエネルギーが決め手になると、原子力が利用されてきた。
エネルギーが決め手という考え方は悪く無いが、原子力の利用を考えたのは、その兵器利用、つまり戦争に利用することが想定されたために選択された。
つまり、人間は科学進歩に比べ、精神的にはほとんど進歩していないのである。
もういい加減、精神的に成長し、国家間、民族間、部族間、宗教間で対立する様なことは辞めて欲しいものだ。
そうで無ければ、先進国の経済が世界平均に落ち込む中、必ず戦争が起き、世界中が核の火の海となってしまうのでは無いだろうか・・・・
そして、それは、仮想世界の話でも分かる様に、そう遠く無い未来の話である。
まさに、願うばかりである。